政府の解除基準を見て「感染者数って意味あるの?」

2020-05-15

昨日、政府は緊急事態宣言の解除基準を発表しました。政府の解除基準は下記のとおりです。

① 直近1週間の感染者数が前週の感染者数を下回り、1週間の感染者数が10万人当たり0.5人未満となること。この基準を東京に当てはめると1週間当たり70人、1日当たり10人ということになります。

② 医療体制がひっ迫していないことと、重症患者が減少傾向にあること。

③ PCR検査などの検査システムの確立。

基準と言っても「大阪モデル」と比較し、かなり恣意性が反映されやすい基準ですが、感染者数の基準だけは明確でありかつかなり厳しい基準となっています。「感染者数が10万人当たり0.5人未満」という基準を大阪府に当てはめれば1週間で45人、1日当たり6.5人ということになります。

「大阪モデル」では単純に感染者数ではなく、感染者数のうち感染経路不明者が1日当たり7人未満という基準ですので、それに比べると国の基準はかなり厳しいと言えます。大阪府は現在、「大阪モデル」ですでに解除基準を満たしていますが、15日現在の直近1週間の感染者数は64人ですので国の解除基準を満たさないことになります。

昨日の専門家会議の記者会見で、ある記者がこのような質問をしていました。「今後PCR検査を拡充していく方針の中で、PCR検査の数を増やしていけば、感染者数が増えると思います。PCR検査をすればするほど1日10人という基準をクリアすることが難しくなり、いつまでたっても制限解除ができないのではないか。PCR検査を1日何件するかなどの検査の基準があいまいなままで、感染者数10万人当たり0.5人とするのは問題がありませんか?」というような内容だったと思います。

たしかにこの記者の言う通りで、今後、唾液によるPCR検査や、抗原検査などの導入により、検査数が格段に増加した場合、素人考えでも感染者数が増えるのは目に見えています。今東京で1日1,000人の検査をしていると仮定して、その感染者数が1日20人とします。検査数が今の10倍の1日1万人になった場合、陽性率が今と同じであれば、感染者数は今の10倍の200人になります。PCR検査をすればするほど感染者数の基準をクリアすることから遠ざかりますね。

この質問は図星だったらしく、専門家は回答に窮し、明確な回答ができませんでした。最終的に困ってしまった専門家は、「10万人当たり0.5人という基準も絶対的な数値ではなく、総合的に判断するしかない」というようなことでお茶を濁しました。

結局、感染者数というものはPCR検査の数で大きく変わる数値に過ぎず、しかもPCR検査を何件するかも意図的に調整できるわけで、感染者数を何かの基準にするのは不適当だと分かったわけです。記者と専門家会議のやりとりでそれがよくわかりました。

やはり、感染者数を基準とするよりも実際の死亡者数か重症者病床使用率などで判断するほうがよっぽど合理的のように感じます。いずれにしても、日本は海外と比較しコロナウイルスでの死亡者数が圧倒的に少ないわけですので、原則、制限解除の方向で検討していくべきだと思います。感染者数という大きくぶれやすい数字で厳しい基準を作って自分の首を絞めることは無いのですから。

そして、感染しないことばかりに気を取られず、もし感染した場合にはこのような対処法があるという点についても、専門家はどんどん情報を開示していって欲しいものです。新型コロナの初期症状はどうで、こういう症状の場合はこうしてああしてというような具体的な対処方法を教えて欲しいですね。政府は当初37.5度の熱が出たら一般の人は4日間自宅待機してそれでも治らなければ帰国者接触者相談センターに連絡をということしか言いませんでしたが、では、自宅待機中に風邪の症状に対しどの様に対処すればよいかという対処方法を全く開示しませんでした。適切な対処方法を取っていれば重症化する人はもっと少なかったかもしれません。今でも専門家会議からそのような風邪に対する対処方法は出てきませんね。

感染したらどうすればよいかということも、感染を防ぐのと同様、とても重要なことと思います。とにかく風邪をこじらせ肺炎にならなければ良いわけですから。ウイルスと共存するということはそういうことだと思います。

 

 

 

 

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