3月, 2014年

将棋電王戦 羽生善治はコンピュータに勝てるのか・・・

2014-03-18

皆さん将棋にご興味ありますか?

わたしは棋力は低いですが対局を見るのが大好きで、NHK杯戦をテレビ観戦したり、たまにタイトル戦をニコニコ動画で見ています。

最近では渡辺明2冠VS羽生善治3冠の王将戦を森内俊之竜王名人が解説するという7冠そろい踏みの番組がニコニコ動画で放映されました。いまや、将棋はニコニコ動画のライブ中継が最も面白いですね。

ところで、ニコニコ動画といえば、今、第3回将棋電王戦の真っ最中です。将棋電王戦とは、コンピュータ将棋ソフトと現役プロ棋士が対決する棋戦です。今回の第3回電王戦は、最強の将棋ソフト5機種とプロ棋士5人がそれぞれチームを組んで、団体戦で対決するというものです。ニコニコ動画では5週にわたりその5局を完全生中継しています。

先日はあの有明コロシアムで第1回戦が、菅井5段と「習甦」という将棋ソフトとの間で行われました。熱戦の結果、「習甦」が勝利し将棋ソフトチームが先勝しました。広々とした有明コロシアムに観客を入れずその真ん中で将棋ロボットと人間が対決する模様はちょっと異様でした。蜂やハエなども出てきて、あの空間ではさぞ菅井5段もやりにくかったのではないかと思います。

ただ、その環境のせいだけでプロ棋士が敗れたわけではなく、現状、コンピュータ将棋ソフトはすさまじい勢いで進歩しており、もはやプロ棋士を凌駕しているのではないかとも言われています。ちなみにチェスはすでに10年以上も前に人間はコンピュータに勝てなくなったそうです。

この電王戦の第1回はニコニコ動画でも伝説的番組となった、米長邦雄将棋連盟会長対「ボンクラーズ」という将棋ソフトとの対決でした。米長邦雄著「われ敗れたり」にその内容が詳しく書かれていますが、題名の通り将棋連盟の会長である米長邦雄が将棋ソフトに負けてしまったのです。初めて、公式の場でプロ棋士がコンピュータに敗れた瞬間です。これにはわたしも衝撃を受けましたが、いよいよ来る時が来たのだなと感じました。ただ逆に、米長会長は将棋連盟会長といってもすでに現役を引退し全盛期の強さがなかったから負けただけで、羽生や渡辺など現役バリバリの棋士なら勝てるはずだというかすかな希望のようなものも捨てきれずにいました。しかし、それから1年後の第2回電王戦は現役プロ棋士5人が将棋ソフトと対決し、1勝3敗1持将棋とプロ棋士が負け越したのです。メンバーにはA級棋士もいての負け越しです。

ここまでコンピュータが強くなると、人間同士の将棋対局がどういう意味を持つのかを考え直さなければならないかもしれません。ルールだって変える必要があります。いま、名人戦や竜王戦は2日制ですが、1日目が終了するとき先手と後手が不公平にならないように封じ手というルールがあります。1日目最後に指す棋士はその手を誰にも見せず書面に記し立会人に封をして預け、翌日2日目開始の時に初めて開封するというものです。もし、この封じ手をした棋士が最強の将棋ソフトを利用し2日目の対局までに一晩研究し尽くしたとしたら、2日目開始時点で、大きなアドバンテージを持つことにならないでしょうか。また、ニコニコ動画でも行われていますが、ライブ中継中に将棋ソフトに形勢判断をさせるのですが、もし将棋ソフトが対局の中盤ぐらいでどちらが勝つかを読み切ってしまったら、その後にプロ棋士同士が指している手にどのような意味があるのでしょうか。

米長さんはボンクラーズに負けた後の記者会見でこう言っています。「この後は、コンピュータはコンピュータとしてさらなる進化をしていき、人間は人間として、やはり脳みそを使ってまさしく電のう戦の脳に汗をかくほど一生懸命将棋を指す姿が多くのファンに感動を与えていく。まあ、駅伝やマラソンと、車のような関係ですね。車は追い抜かそうとすれば横をさっと抜けていくことができますが、駅伝やマラソンの横をのろのろと並走しています。それは、ランナーの汗というものに感動するからですよね。」

私たちは、勝敗だけのために将棋を見ているわけではないですよね。完全無欠のコンピュータ将棋に感動しているのではなく、時にはミスをし、時にはすごい!と唸らせる奇跡の一手を指す、人間同士の汗をかく将棋に一喜一憂し、感動するのですよね。

私の予感ですが、あと数年でコンピュータ対人間の対局には誰も興味を持たなくなるでしょう。そして、やはり人間同士の不完全な、でも究極を目指そうとする将棋に感動を求めていくんだと思います。

 

 

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