Archive for the ‘お知らせ’ Category

まもなく定額減税がスタート

2024-04-18

皆様のお手元には、税務署から「定額減税(源泉所得税)のパンフレット」が既に届いていると思いますが、「定額減税」の実際の手続きがいよいよ6月から開始されます。直前になって慌てないように、経理担当者の皆さんは事前に準備してください。

 

【1】定額減税の概要について

1.開始時期 2024年6月支給給与から

2.減税額  所得税3万円 住民税1万円

3.対象者  合計所得金額が1805万円以下の国内居住者。

なお合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円以下)の同一生計配偶者や扶養親族も対象であり、納税者本人の給与から併せて控除されます。

4.減税方法

① 住民税 6月の給与の特別徴収税額は0円で、定額減税後の住民税額を11分割して、7月分~翌年5月分の給与で特別徴収。

② 所得税 6月支給の給与や賞与の源泉徴収税額から控除し、控除しきれない分は7月以降の給与や賞与の源泉徴収税額から控除していき、最終的には年末調整で調整されます。もし年末調整でも控除できない分が生じた場合は各自治体から給付されます。どこまで控除されたかは会社の経理担当者が「各人別控除事績簿」で管理してください。

【2】定額減税の留意点について

1.今回の定額減税の対象者は、例年の年末調整で行っている配偶者控除や扶養控除の対象者とは範囲が異なりますので、経理担当者は6月時点での定額減税対象者を改めて確認する必要があります。確認事項は下記の通り。

① 扶養親族の異動:子供が生まれていないか、留学した子女がいないかなど、前年度の扶養控除等申告書の扶養状況に変更が無いか、直近の状況を把握する。

② 年少扶養親族の人数:16歳未満の年少扶養親族も定額減税の対象になる。

③ 配偶者や扶養親族の年収:給与収入が103万円を超えるような配偶者特別控除の対象者は定額減税の対象にならない。逆に、合計所得金額が1000万円超の人の配偶者は配偶者控除の対象外だが、配偶者の所得が1805万円以下なら定額減税の対象になる。

2.所得が1805万円超の納税者の配偶者や扶養親族が定額減税の対象者だとしても、納税者本人と併せての減税ができないので、定額減税対象者の扶養に入るなどの工夫が必要です。

3.本人の所得が1805万円超で、本人が定額減税の対象者で無いとしても、6月以降は給与における源泉徴収において定額減税をする必要があり、減税され過ぎた分は本人が確定申告をすることで追加徴収されます。

4.定額減税では年間の控除額が4万円に満たない人には給付金が支給されることになりますが、計算上1万円以下は切り上げられますので、例えば控除できた額が38,000円の場合、1万円がプラスされ48,000円の減税(給付)となります。つまり、4万円に満たない人の方が多くの減税(給付)を受けられることになります。

【3】「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」 について

昨年末の年末調整において既に「令和6年分 給与所得者の扶養控除等申告書」を従業員に提出してもらっていると思いますが、各従業員の扶養家族の構成や収入が変わっている可能性があります。つきましては、5月末までに「源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」を従業員に提出してもらい、定額減税のご準備をお願いします。

宝塚歌劇団110周年!

2024-04-12

3月28日に遺族側との合意書を締結し、昨年来続いていた劇団員の自殺問題がこれで一区切りし、先の見えない暗いトンネルの中で半年以上にも渡り耐え忍んでいた宙組生にも、ようやく一縷の光が指し始めたのではないでしょうか。

今年は宝塚歌劇団創立110周年という記念すべき年です。その伝統を守りつつ、これからも観客を唸らせる素晴らしい作品を生み出して行って欲しいものです。

さて、110周年にちなんでというわけではないですが、私が今まで観た宝塚作品の中からもう一度観てみたいお勧め作品を110作品、組別に時系列にセレクトしてみました。

1980年代以降のトップスターとトップ娘役をほぼ網羅したつもりですが漏れていたらごめんなさい。

あくまで個人的な好みで選んでいますので悪しからず。ネタバレにはご注意ください。

こちらをクリックして下さい → 宝塚歌劇 組別傑作選 ベスト110

収受印を押さない税務署ってどうなん?

2024-03-09

最近、税務署へ申告書を郵送したときに、次のような通知書が返送されてきます。

「令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押捺を行いません」と。

今までは、申告書や届出書を税務署へ郵送するときに、「控え」と「返信用封筒」を同封しておくと、「控え」に収受日付印(以下収受印という)が押印されて返却されてきましたが、令和7年1月からはそれが行われないという事です。この見直しは、郵送だけでなく、窓口で提出した場合でも同じだそうです。その理由は、「税務行政のデジタル化における手続きの見直しのため」という事だそうです。

 

デジタル化による税務手続きの簡素化は時代の流れですが、電子申告ができない納税者がまだまだ数多くいることを考えると、収受印の押印廃止は時期尚早ではないかと思われます。

また、電子申告がそぐわない申告だってあります。例えば、相続税のように納税者にとって一生に一度あるかないかの申告のために、相続人が電子申告の開始届をわざわざ提出し、利用者識別番号(→参照:「利用者識別番号の取得状況の確認」)を取得しなければならないのは納税者にとって要らぬ負担です。

そもそも、デジタル化がいくら進んだとしても、紙の申告が法的に認められている以上、収受印の押印を断る合理的な理由は税務署には無いと思うのですが。「デジタル化」「収受したことの証明」は全く別の次元の話ですからね。

 

さて、収受印の押印がなぜ重要かと言うと、申告書控えに収受印が押印されていないと、期限内に申告したかどうかを納税者側で証明する手立てが無いからです。そして、申告期限を1日でも過ぎれば、期限後申告となり、無申告加算税などのペナルティが課せられたり、青色65万円控除などの期限内申告を要件とする特例が適用できなくなるからです。

国税庁のホームページでは、収受印に代え、納税者が申告書等を提出した事実を確認する方法として、次のように回答しています。

「書面で申告した場合であっても所得税の申告書等については、オンライン申請による『申告書等情報取得サービス』や『保有個人情報の開示請求』、『納税証明書の交付請求』により確認することも可能です。」と。

しかしこの方法は、提出日当日に、ちゃんと収受されたかを確認することが出来ないのが最大の欠点です。

つまり、税務署が収受後、何らかのミスで申告書を紛失したり、期限内の収受手続きを失念した場合、「控え」への収受印が無いことには、納税者側からは、期限内に申告したことを証明する方法が全くありません。要するに、「控え」への収受印の押印は、納税者のリスクヘッジという意味で、非常に重要な役割を果たしているのです。

もちろん、法定申告期限内に全額を納付し、かつ、法定申告期限から1カ月以内に申告書が提出されていれば無申告加算税は課税されないという宥恕規程はありますので、法定申告期限から1カ月以内に、上記の各種サービスで申告書が受理されているかを確認するという対処方法は残されています。しかし、新たに導入された「申告書等情報取得サービス」は、所得税の法定申告期限の3月15日から1カ月半が経過した5月1日にならないと情報が反映されませんので、そもそもこの宥恕規程が生かせないのです。また、この「申告書等情報取得サービス」所得税のみがサービスの対象ですので、法人税相続税など他の税目については打つ手なしということです。さらに、この方法は電子申請が大前提ですので、それができるぐらいなら最初から電子申告をしますよね。このように国税当局が提示する代替案では、収受印の押印廃止によって生じる納税者のデメリットを十分カバーしきれないことがわかります。

 

ここ数年のデジタル化により、税務署は手続きの簡素化を大幅に進めて来ました。国税庁の発表によると、所得税申告で65.7%法人税申告にあっては91.1%が電子申告に移行したとのこと。今回の収受印の廃止はデジタル化が進んだ結果としての手続き上の見直しということですが、実は、「控え」への押印が廃止される一方、「提出用」には今まで通り収受印が押印されるそうです。「であるならば、ついでに『控え』にも押印して欲しい!」というのが納税者の率直な気持ちですよね。しかし、国税当局が敢えてそれをしないのは、そのひと手間が惜しいのではなく、穿った見方ですが、デジタル化を阻んでいる「電子申告が不得手なIT弱者」や「意図的に電子申告をしない人たち」に不利益を強いることで、電子申告をせざるを得ない状況に追い込むことが本当の目的だからではないかと勘繰りたくなります。インボイス制度導入による消費税のステルス増税しかり、なし崩し的に現状変更をして行くやり口は財務省の常套手段ですからね。

最期に、我々税理士の立場からすると、クライアントの事情や申告の状況によっては、紙で申告をせざるを得ない場合があり、「控えに」収受印が貰えないと、期限内に申告したことをクライアントに証明する手立てがありません。また、新たにクライアントになった事業主から、ご本人さんが紙で提出した開業関連の届出書を見せてもらう時に、例えば「青色申告承認申請書控え」収受印が無かったり、「控え」そのものが無ければ、期限内に提出されているかどうかの判断がつきません。提出されているかどうか、期限内かどうかを知るためには、税務署への照会というひと手間を要することになります。税理士は、常に納税者と税務署の板挟みになりやすい立場ですので、収受印の押印廃止は我々税理士にとっては、申告方法の選択肢が狭められリスク手間ばかりが増える改悪と言っても過言ではないでしょう。

通勤手当に社会保険料を負担させるのは合理的か?

2024-03-06

確定申告も佳境に入ってきましたが、今回はちょっと息抜きに、通勤手当に掛かる社会保険料について考察したいと思います。

顧問先の従業員の方からお聞きする不満として、「通勤手当にも社会保険料が掛かっているのはおかしくないですか?」というものです。確かに、通勤手当は支給されても定期代などに消えてしまいますので、手元に残らないものに社会保険料を負担させるのは、担税力という観点から、おかしいと感じるのは当然のことですよね。同じ30万円の給与を貰っていて、通勤手当が3万円の人は、勤め先の近くに住んでいて通勤手当が無い人に比べ、手取額がおよそ4,000円少なくなるわけですから。

税金の面では通勤手当は非課税ですからなおさらそう感じますよね。

そこで、通勤手当に社会保険料を負担させることが合理的かどうか、そこに不公平は無いかどうか、通勤手当を貰っている人と貰っていない人を比較して、通勤手当に負担させた社会保険料と、それによって将来受け取れる老齢年金の増加額をシミュレーションしてみましたので、ご一読ください。

クリックして下さい⇒  通勤手当に負担させた社会保険料を年金で取り戻すには何年かかる?

確定申告必要書類チェックリスト

2024-02-05

顧問先様各位

今年も確定申告の時期が近づいて参りましたので、「確定申告必要書類チェックリスト」をご参考に、確定申告のご準備をお願いいたします。       薮内税理士事務所

確定申告必要書類チェックリスト ← クリックして下さい。

 

 

「無期労働契約」に転換できることを契約書に明示する義務が発生します

2024-01-11

今年の4月以降、有期労働契約書に「契約更新の上限の有無と、更新上限がある場合の内容」、そして、「無期転換の申込機会と、転換後の労働条件」の明示が義務化されます。

どういうことかと言いますと、もともと、2013年4月以降の「有期労働契約」については、契約社員・パート・アルバイトに関わらず、契約期間が5年を超えたら「無期労働契約」に転換できる規定はあったのですが、2024年4月以降は、その内容を契約書に明示する義務が新たに発生するということです。つまり、「有期」から「無期」へ転換できる労働者の権利を契約書に明示することで、労働者に対してその権利を周知徹底しようという主旨です。

具体的にどのように記載するかですが、「更新上限の有無と、更新上限がある場合の内容」について言えば「更新上限有り。更新回数3回、通算契約期間4年まで」と言うように記載します。「無期転換の申込機会と、転換後の労働条件」について言えば「本契約期間中に無期労働契約を申し込んだときは、本契約期間の末日の翌日から、無期労働契約での雇用契約に転換することが出来る。労働条件については別紙の通り」というように記載します。「有期労働契約書」に以上のような項目を記載することで、労働者が「5年を超えれば無期契約に転換できる」という権利を知ることが出来きるわけで、労働者にとって有利な法改正です。もし記載がない場合は罰則規定もありますので、経営者の皆さんは注意してください。

 

ところで、今回の法改正に触れたとき、劇団員の自殺問題の渦中にある宝塚歌劇団の、「雇用契約」及び「業務委託契約」について、なるほどと思ったことがあります。

宝塚歌劇団では、5年目までの劇団員とは1年更新の「有期雇用契約」を結んでいますが、6年目以降は1年更新の「業務委託契約」に移行するそうです。その理由として、役者としてのスキルが身に着くであろう6年目頃からは一人前のタレントとして扱おうということなのかと思っていました。もちろんそういう主旨もあるとは思いますが、「雇用契約」が「1年更新の有期契約」であると言うことからすると、劇団の現実的な採用事情が見え隠れします。1年更新の「有期雇用契約」だと、5年目までは1年ごとに劇団員との雇用契約を見直すことが出来き、辞めてもらいたい劇団員を劇団の都合で辞めさすことが出来ますが、5年を超えて雇用契約を継続してしまうと、「有期契約」から「無期契約」に移行せざるを得ず、劇団の都合で辞めさすことが出来なくなるという不都合が生じます。おそらく、それを解消するために、有期から無期への転換の無い「業務委託契約」に移行させ、契約期間満了と同時に契約を打切ることができるようにしているのではないかと思います。なるほど、6年目で「雇用契約」から「業務委託契約」に移行する理由はそう言うことかと私なりに腑に落ちたのですが、もちろん劇団がどのような意図を持っているのか、本当のところはわかりません。

このような契約のやり方が企業倫理として問題があると言っているわけではありません。劇団としては入団1年目から「業務委託契約」にすることも可能なわけで、あえて「雇用契約」でスタートしているのは、もしかしたら、未熟な劇団員の収入を確保してあげるためなのかもしれません。それに、宝塚以外の外部の劇団を見ると、未熟な新人と雇用契約をしてくれるようなところはほとんど無く、大抵の売れない役者はアルバイトに時間を費やしながら苦労して役を勝ち取ろうとしているわけで、入団1年目から役が無くても給料が有り、役者修行に専念でき、かつ、「タカラジェンヌ」という憧れの対象でいられる宝塚の劇団員は恵まれているのかもしれません。

いずれにしても、劇団にとって「スターシステム(※各組トップスターを頂点とした宝塚独自の組織運営システム)による劇団員の新陳代謝は必須であり、毎年40人の新人を受入れるためには、40人に辞めてもらうしかなく、「業務委託契約」への移行は苦肉の策なのでしょうね。

なお、実際に劇団員が劇団側から退職勧奨をされて退団するパターンが多いのか、もしくは自ら退団を決意し退団するパターンが多いのか、そこになんらかの暗黙の了解のようなものがあるのかわかりませんが、個人的には、劇団員の皆さんが宝塚での役者人生を全うされて退団されることを願っています。

 

今年の漢字は「税」。大谷翔平1000億円の契約と「税」について

2023-12-27

今年の漢字は意外にも「税」に決まりました。インボイス制度の導入ふるさと納税のルールの厳格化わずか4万円の減税に過ぎないのに手続きが複雑すぎる定額減税の導入防衛費増税など、税にまつわる鬱陶しい話題が多かった為でしょうが、でもやはり、「税」が選ばれた一番の理由は「増税メガネ」と揶揄される誰かさんの所為でしょうね。

そんな重税感に覆われた不景気な日本経済を横目に、大谷翔平10年1000億円の北米プロスポーツ史上最高額の契約を果たしました。1000億円の金額については何となく予想できましたが、総額1000億円のうち97%の970億円を10年後からの後払いにするという異例の契約には驚きました。しかもその提案は大谷から出されたようで、目的はドジャースの選手補強のための資金的余力を残すためだということ。大谷はそれほどまでして優勝がしたいんでしょうね。

ところで、この後払いについては賛否両論ありますが、「大谷は節税のために後払いにしているのじゃないか」という批判がちらほら見られます。現役時代は州税の高いカリフォルニア州でもらう報酬額を抑え、退団後は州税の安い州に転居し、州税を節税しようというものです。しかし、この批判は的を射たものではありません。州税だけを見れば節税できますが、トータルの手取額は後払いより、現役時代に毎年100億円ずつ貰う方がかなりお得です。

では、どのぐらいお得なのか、「税」「利息」に着目して確かめたいと思います。

なお、前提条件は次の通りです。税率は最初の10年間はカリフォルニア州の州税13.3%を含め55%、退団後の10年間は州税が0%の州に転居し41.7%。金利は年利5%の1年複利で計算をします(なお、利息に対する税金は今回無視します)。

 

1.まず、今回大谷が締結した後払いの契約を見てみましょう。

現役10年間では毎年3億円の報酬、ドジャース退団後の11年目からの10年間で残り970億円を、毎年97億円ずつ貰うスキームです。

この場合、最初の10年間でもらう税引後の報酬は13.5億円、利息は4.5億円合計18億円となります。

その後、11年目から10年間でもらう税引後の報酬は565.5億円、利息は192.5億円合計758億円となります。

20年間のトータルは、税引後の報酬は579億円、利息は197億円合計で776億円になります。

 

2.次に、現役1年目から報酬を100億円ずつ貰う場合です。

現役10年間で毎年100億円ずつ報酬をもらい、総額1000億円を現役10年間で貰い切るスキームです。

この場合、最初の10年間でもらう税引後の報酬は450億円、利息は144億円合計594億円となります。

その後、11年目から10年間でもらう税引後の報酬は0円、利息は374億円合計374億円となります。

20年間のトータルは、税引後の報酬は450億円、利息は518億円合計968億円になります。

 

968億円-776億円=192億円。 その差192億円!

後払いの方は州税の節税が129億円できますが、現役1年目から100億円ずつもらった方が20年間の利息が321億円も多くなりますので、現役1年目から普通に100億円ずつもらう方が、20年間での手取額は192億円もお得になるわけです。

よって、大谷は後払いにしたからと言って決して得しているわけではありません。こんな計算は代理人が計算済みだと思いますが、192億円を損してでもワールドシリーズ優勝を優先した大谷は、やはり規格外だなと思いました。

今年の漢字は「税」ですが、大谷にとって「節税」とか「利息」なんて下世話な話はあまり関心がないのでしょうね。

藤井聡太 史上初の八冠全冠制覇!!

2023-10-11

本日、第71期王座戦・第四局で、藤井聡太竜王名人が、永瀬拓矢王座を破り、羽生善治の七冠独占を超え、八冠全冠制覇を達成した。

最終盤、藤井の負けがはっきりとしたその瞬間、永瀬が指した123手目、5三馬が敗着となり、大逆転となった。

敗着手を指した直後、永瀬が頭を掻きむしり、自分のミスを悔しがるシーンがとても印象的で、見ている私も胸を締め付けられるような思いになった。

一将棋ファンとして、この世紀の大一番を提供してくれた、藤井聡太と永瀬拓矢の両対局者には「本当にありがとう」と伝えたい。

課税のインフラ整備をやり遂げた後は?

2023-09-30

いよいよ、明日からインボイス制度が開始される。

インボイス制度導入の目的の一つが消費税のステルス増税であることは以前にも述べたが、「益税」解消のためであれば、シンプルに免税制度を廃止するか、免税点を引き下げればよかったはずだが、免税制度に手を加えるとなると、消費増税が誰の目にも明らかとなり、内閣支持率や選挙のことを考えればその選択は難しく、そこで白羽の矢が立ったのがインボイス制度であり、政府はうまい隠れ蓑で増税の目的を達成したと言える。

しかし、そもそもインボイス制度自体に論理のすり替えがあることはあまり議論されていない。インボイス制度のもともとの目的は、消費税率が8%や10%の複数税率になった時に、仕入税額控除を厳密に行えるようにすることであった。そのためには、請求書に正確な税率を記載する必要があり、そのためには、請求書を発行する事業者が「課税事業者でなければならない」としたのである。実はこの「課税事業者でなければならない」というのが論理のすり替えであり、請求書を発行する事業者が課税事業者でなければ、複数税率の正確な計算ができないわけではない。免税事業者が発行する請求書についても、もし課税事業者であった場合と仮定して消費税率を記載すればそれで済んだはずだ。そういうやり方は、今でも消費税を計算するときに普通にやっていることである。しかし、課税当局の真の目的が免税事業者への課税だったので、免税事業者が発行する請求書では仕入税額控除ができないという理屈を作り出し、その理屈付けのために、複数税率の存在を巧妙に利用したのである。

ただ、インボイス制度導入の目的が消費増税だけにあったとは考えにくい。年間2~3千億円程度の消費増税のために、全事業者に多大な経理処理の負担を強いるのは得策ではないからだ。しかも、紙の領収証をいちいち確認しなければならないインボイス制度はデジタル化という時代の流れに逆行する。

実は、インボイス制度導入にはステルス増税以外にもう一つ重要な目的があると見られている。それは、全ての請求書や領収証に登録番号が記載されることで、国税庁による納税者の一元管理ができるようにしたことだ。いわゆる、登録番号によって、領収証一枚一枚に顔を張り付け、「顔認証」ならぬ「領収証認証」をできるようにしたのである。しかもこの登録番号は全法人が登記している履歴事項全部証明書の法人番号と一致させており、情報の一元化をしやすくしている。そして、「電子帳簿保存法」の導入と相まって、デジタルデータ化された請求書や領収証などの帳簿資料がビッグデータとして国税庁に集約され、課税のためのあらゆる場面で利用されるのだ。実はこちらの目的の方がインボイス制度の本丸と言える。

「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」、更には「マイナンバー制度」という、「課税のインフラ整備」をやり遂げた課税当局は、今後満を持して、消費税のみならず、様々な税金の課税、徴収、そして管理を厳密にかつ網羅的にやって来ることだろう。

内需主導型の日本で、消費税の増税は自らの首を絞める

2023-09-23

先日、経団連は2024年度税制改正に関する提言において、「少子化対策を含めた社会保障制度の財源確保の手段として、中長期的な消費税の増税が有力な選択肢の一つである」と明言した。今までも、経団連によるこのような提言はされて来たが、それにしても、経済界を代表する組織が景気にとってマイナスとなる消費増税に常に前向きな姿勢であるのはどうしてだろうか?この理由については何人かの専門家が興味深い見解を示している。

一つは、消費税が社会保障費の財源に充てられるようになった現状では、企業がその半分を負担する社会保険料のアップよりも、消費者に広く負担を求める消費税アップの方が企業の負担が少ないからということ。

もう一つは、輸出免税による消費税の還付額は消費税率が高いほど増加するので、輸出企業が多く所属する経団連にとって消費税の増税はむしろメリットであるということ。

以前であれば、たとえ経団連に所属する大企業にメリットがあったとしても、消費増税については中小企業を含めた経済全体への影響が大きいので、経済団体のトップが表立って消費増税を容認することは少なかったと思うが、2012年の「社会保障と税の一体改革」により消費税が社会保障費の財源に認められたことを契機に、まるでお墨付きをもらったように、こういう提言が堂々とされるようになってきた。

いずれの理由も、経団連に所属する大企業にとってはメリットがあるかもしれないが、日本経済全体にとって、消費税の増税が本当に良いことなのかどうか一考の余地があるように思われる。

 

ところで、経団連が消費増税を容認している理由の一つに「輸出企業は消費税還付で得をするから」というのがあるが、輸出企業が消費税還付で丸得しているわけではない。

例えば、内需100%の企業と、輸出100%の企業について、消費税率の変化がキャッシュフローにどう影響するかを、消費税率が0%と10%で比較してみる。

1.消費税率0%

内需企業、輸出企業共に

仕入80+消費税0=80  売上100+消費税0=100

利益 100-80=20    消費税 0-0=0

キャッシュ残高 20-0=20

 

2.消費税率10%

内需企業

仕入80+消費税8=88  売上100+消費税10=110

利益 110-88=22    消費税 10-8=2 →納税

キャッシュ残高 22-2=20

輸出企業

仕入80+消費税8=88  売上100+消費税0=100

利益 100-88=12    消費税 0-8=-8 →還付

キャッシュ残高 12+8=20

 

以上の比較から、内需企業も輸出企業も、消費税率にかかわらず税引後のキャッシュ残高は20で、全く差がないことがわかる。よって、「輸出企業が消費税還付で得をしている」という言い方は正しくない。

ただ、輸出企業が優遇されていないわけではなく、輸出企業については輸出振興策の一貫として、国内の消費税に影響されないように税制が作られている。日本の消費税率が0%であろうが、10%であろうが、その税率に関係なく、それまでと同じ100で輸出できる仕組みとなっているのだ。よって、消費税率が変わっても輸出価格は変わらないので、購入する海外の企業や消費者は購買行動を変えることはなく、輸出企業は消費税が増税されたからと言って、売上が下がることはないのだ。

一方、内需主導の企業の場合、消費税率が上がると日本国内の消費者の購買行動が変わるので、消費税の増税に大きく影響を受ける。

例えば、1個10円の商品を100個販売する企業があるとして、消費税率が0%の時は、その売上高は1000円(10円×100個)である。

しかし、もし、消費税率が10%となった場合1個当たりの単価は税込みで11円(本体価格10円+消費税1円)となり、購入側の購買力が1000円と変わらない場合、90個しか売れなくなる。(計算は1000円÷11円=90個)。10個が売れ残ることになるのだ。この場合のこの企業のキャッシュ残高を計算すると、消費税が無い場合は1000円が丸々企業の手元に残り、消費税が10%の場合は、910円しか残らない。(計算は売上高1000円-消費税納税額90円(1円×90個)=910円)。つまり、購買力1000円のうち90円が税金として国のものになり、企業の取り分は910円となる。企業に残るお金は消費税導入前より90円減るのである。企業が同じ努力をして、取り分が90円減るわけだから、企業収益が圧迫されるのは当然であり、企業収益が圧迫されれば、人件費などの経費を削減したり、将来への投資を減らしたりと、日本国内の景気は縮小せざるを得なくなる。

つまり、輸出企業が大半の国であれば、消費税を上げても影響は少ないが、内需企業が多い国の場合、消費税の増税は国内景気に強く影響を及ぼしてしまうのだ。

 

日本が「輸出依存型」の国であれば消費増税の影響は比較的少なくて済むが、残念ながら日本は「内需主導型」の国である。それをわかりやすく示しているのが、「対GNP輸出依存度」というものであり、日本の「対GNP輸出依存度」は約18%である。裏を返せば、内需依存度が82%ということだ。

ちなみに、諸外国の「対GNP輸出依存度」は、オランダ83%、ドイツ47%、スウェーデン46%、ノルウェー38%、カナダ31%で、輸出依存度が30%を超えている国はその他に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、デンマークなど、ヨーロッパ主要国のほとんどが30%を超えている。数字を見れば火を見るより明らかで、日本の輸出依存度はヨーロッパ諸国に比べ遥かに低い。つまり、日本はGNPの8割以上を内需に依存している「内需主導型」の国であり、消費税の増税は国内経済にダイレクトに響いてくるのだ。

実は、EU加盟国の消費税率は最低15%と決められていることもあり、消費税率が20%を超えている国は、ヨーロッパ諸国が圧倒的に多く、ヨーロッパ諸国が高い消費税率に耐えられるのは、一つには、輸出依存度が高いからと言える。ちなみにアメリカの輸出依存度は12%で日本より低く、そのアメリカは消費税を導入していない。

あまり知られていないが、アメリカではヨーロッパ型の付加価値税(消費税)は導入されておらず、州ごとに売上税があるだけである。税率も0%から約10%で平均7%ぐらいと、日本よりも低い。しかもアメリカの納税の仕方は、日本やヨーロパの付加価値税のように、全ての事業者が売上の消費税から経費の消費税を差引いて納税するのではなく、最終消費者を相手にする事業者だけが顧客から預かった売上税を顧客に代わって直接納付する仕組みとなっている。ゴルフをされる方ならご存知だと思うが、アメリカの売上税はゴルフ場利用税とよく似た税金なのだ。アメリカがヨーロッパ型の付加価値税を導入しないのは、一つには各州ごとに経済事情が違うことを考慮してのことだろうし、また、内需主導型のアメリカ経済にとって、付加価値税が景気の足を引っ張ることを良くわかっているからであろう。

 

さて、10月1日からはインボイス制度も開始され、今まで消費税が免除されていた事業者も消費税を納めざるを得なくなる。消費税については増税の話題しかないが、日本における法的な消費税の増税は、1989年に消費税が日本に初めて導入されて以来34年間で、3%から5%(1997年)、5%から8%(2014年)、8%から10%(2019年)の3度あった。その増税のたびに日本の景気は腰折れし、1990年のバブル崩壊以降、日本は未だデフレのトンネルから抜け出せずにいる。いや、デフレどころか、ウクライナ戦争や円安、半導体不足やオイル高による「インフレ」と、「景気後退」が同時に起こる「スタグフレーション」に突入してしまった感がある。

そんな中で、令和4年の日本の税収が史上最高の70兆円を記録したと聞くと、「獣を得て人を失う」とは正にこの事かと呆れざるを得ない。

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